静岡大学での成長日記

掲載日: 2018年5月22日
更新日: 2018年6月8日

教育学研究科

長谷川広典

(大学院2年美術)

 昨年の3月に私は静岡大学を卒業し、現在は静岡大学大学院に在籍しています。
 2011年3月東日本大震災の翌月に静岡大学に入学しました。この震災から、それまで自分の為だけに好き勝手に絵を描くという私の表現活動が、人や社会に貢献できていないという事実を強烈に自覚し、入学式を迎えました。そしてそれは私のみならず、一緒に入学した同期たちも「社会と私」をどう結び付けていくかを意識的に考えながら大学生活を送っていくことになりました。
 同期たちが様々な解を模索している中、私も学部1年時にある解らしきものに出会いました。それが、「デザイン」という領域でした。デザインにおける多角的な考え方や社会問題を柔軟に解決していく姿は、それまで一辺倒な表現を行っていた私にはとても鮮やかにうつりました。また、「デザイン」について全く無知だった私は、現在私の指導教員でもある伊藤文彦先生の授業を学部1年生から受講し、デザインの「いろは」を学びました。すると想像をはるかに超えた「デザイン」の奥深さと、社会との接点の多様さが見えてきました。このとき私はデザインを軸に「社会と私」を結び付けていきたいと決意しました。
 静岡大学の美術教育講座には、デザインだけでなく、絵画、彫刻、芸術学・美術史、美術科教育といった様々な領域が存在します。そして、それらを横断的に学んでいきます。
今振り返ると、この幅広く学んだ知見が私のデザイン観を大きく支えています。そしてそれが一番色濃く反映できたのは、学部3年生の時に挑戦した「二科展」でした。
 2013年に常葉大学の加藤之敏先生のアナウンスを皮切りに二科会デザイン部に向けてポスター制作が始まりました。当時は学業と並行しての制作ということで、一つの作品に長時間集中するというより、授業と授業の合間に制作せざるを得ない特殊な状況でした。しかし、休み時間に前の授業で学んだことを、即座に作品に取り入れ、色々な角度から試行錯誤し、行き詰ると、次の授業で先生方に相談するという良さもありました。その結果、二科展デザイン部A部門二科デザイン・ポスター大賞という名誉ある賞を頂きました。しかしそれは私の一人の力ではなく、様々な人の協力のもとに達成できたことで、入学する以前の私には考えられない出来事でした。
 現在大学院では、教育学とデザイン学と横断的な学びを通して、動画による新しいコミュニケーション手法を研究しています。そして大学院で培った知見を、教育のみならず、社会のあらゆる場面で活かせるよう、さらに研究に励みたいと思います。

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同窓会誌(大学院2年美術 長谷川広典)
平成23年4月に静岡大学教育学部芸術文化課程美術・デザイン専攻に入学。平成27年3月に卒業し、同年4月に静岡大学大学院教育学研究科学校教育研究専攻美術教育専修に入学。

賞暦
第98回 二科展デザイン部A部門二科デザイン・ポスター 大賞
第99回 二科展デザイン部A部門二科デザイン・ポスター 特選賞
第100回 二科展デザイン部A部門二科デザイン・ポスター 特選賞