事前面接指導の成果と課題

掲載日: 2018年5月25日
更新日: 2018年5月28日

 「えっ、静大生の教員採用率が、こんなに低いの?」「教育学部生なのに教員採用試験を受けない学生が多いのはどうして?」。この現状に危機感を抱いた同窓会では、一人でも多くの教育学部生が、教員になってほしいという切なる願いで、平成22年度より、同窓会OBによる第一次前面接指導、第二次前面接指導を実施してきました。結果、採用率は高まったものの、教員採用試験を受ける学生数は伸び悩み、その原因を探るため、平成27年度より、採用試験に合格した学生と面接講師、同窓会本部役員による話し合いを実施してきました。

杉田豊 同窓会長の願い

杉田会長は、挨拶の中で、「自分が教採試験を受けた頃は、誰もが合格できた」が、最近は厳しい状況にあります。学生には是非、教員を目指す頑張りを期待します。

平成29年度教員採用試験の総括

 平成25年度に教育学部に設置された「教職支援室」の渡邉特任教授は、
・教職支援室を利用し、同窓会の面接指導を受けた学生の合格率は高い。
・一人でも多くの学生に参加してほしい。静岡県・静岡市・浜松市・他県採用など、全てに対応できる体制を整えている。
・同窓会の配慮で他学部生徒も面接指導が受けられ感謝されている。
と説明された上で、教採試験を希望する学生が増加し、教職支援室を活用することを期待しています。
 次の表は、平成29年度採用試験の結果です。

県・市 校種別 受験者数 二次合格
静岡県 小学校 43 30
中学校 27 22
高 校 20
特 支 15 14
静岡市 39 20
浜松市 20 11
他県 25 13
合計 189 118

表から読み取れる課題

・教育学部生の半数以上が教採試験を受験しない状況にある。
・小学校教員希望者が少ない。
・合格率は高いので、教員を目指すというモチベーションを高めてほしい。

面接講師による指導の振り返り

 平成28年度も面接指導を長きに亘り経験した約20名の同窓会OBの皆様方にご指導をいただきました。話し合いには2名に参加していただき、感想等を伺いました。
久保田柾博面接講師は、「指導は5回目となるが、学生の努力は年を追うごとに向上している。教職支援室の利用回数の多い学生は、受ける姿勢も受け答えの内容も驚くほど立派である」と説明されました。
また、塩沢英雄面接講師は、「本年度は、30分という面接時間で、多岐に亘り質問できた」「言葉の意味を自分のものとして具体的に表現できない」「自分自身を良くしたいという意識が見えた」など説明していただいた。

教採試験に合格した学生より

(加藤)温かな雰囲気の中で指導を受け安心感があった。教職支援室の面接で課題が明確になり、同窓会の面接ではその課題を意識して受けることが出来た。
(髙林)抽象的でなく浜松市の子どもプランを取り入れた指導でよかった。板書指導では字だけでなく形の内容の重要さを実感できた。
(大橋)市独自の「小中一貫教育」について伺えてよかった。話し方など課題を一杯指摘されたのが本番で生かせた。
(山下)面接形式の練習とその後の評価と指導が充実していた。学校現場での経験談が役に立った。
(菅井)とても充実した指導をいただいたが、面接指導のコンセプトなどが講師間で共通認識されているのか疑問に感じた。
次年度に向けた要望等
(加藤)現場での経験談が伺えてよかったが、試験当日の面接官の役割分担等を教えてほしかった。
(髙林)講師の先生が思う採用したい人物像などを伺いたい。本番さながらの厳しい指導を期待する学生も多い。学生は打たれ強いです。
(大橋)本番さながらの雰囲気で、実戦形式で厳しく行ってほしい。
(山下)時間の延長と回数を増やしてほしい。教職支援室の予約が取れにくいので同窓会による指導を増やしてほしい。

全体を振り返って

 参加された横山教授や冬木教授から、学生の中には「教員としてやっていく自信がない」「授業が忙しく試験勉強が出来ない」などのお話を聞きました。また、面接講師は、『学生の「教師になろう」という意識は高いと感じた』と期待される声も多かったので、絶対に教師になるんだという気概を持ち続けてほしいと思います。同窓会の思いは、一人でも多くの学生が教職を目指してほしいことです。

(文責・同窓会事務局)