教育学部の将来ビジョン

掲載日: 2018年6月9日

静岡大学
教育学部副学部長

江口尚純

 同窓会の皆様には日頃より多くのご支援とご協力をいただき感謝しています。
 静岡大学では、地域課題解決・地域社会から必要とされる人材育成の充実・グローバル人材育成の充実・理工系人材育成の充実、教員養成分野における義務教育の学校教員養成機能の充実などを眼目として、平成28年度より各学部より各学部の再編、全学横断型教育プログラム「地域創造学環」の新設などが行われ、未来に向けて大きく変革するさなかにあります。
 平成28年度教育学部改組の概要については、本誌前号で菅野学部長より報告がありましたので、ここでは図のみでお示しします。教育学部は今、学部と大学院を結集して、「現代的課題対応型」そして「実践型」の教員養成、さらには教員委員会と連携しながら、教員養成と現職教員研修とを連結・統合して高度化するという、新しい仕組みの構築を目指して改革を進めようとしています。そこでは同窓会の皆様のお力添えを今以上にお願いしなければなりません。どうか温かいご支援をお願いいたします。

教育学部の目指す方向性

 教育学部では中教審等の政策動向を踏まえながら、以下の観点で課題を整理し、鋭意その方策を検討しています。
①教育の現代的課題や小中一貫教育、高校教育改革への対応を見据えた学部・大学院の組織・カリキュラム改革
②これからの時代に求められる21世紀型能力育成の観点から主体的・協働的な学びの組織的導入
③実践的指導力育成・評価システムの構築と教員養成・採用・研修を見通した教育課程改革
④大学院修士課程・教職大学院のそれぞれの機能強化、共通プログラムの設置と現職研修機能の充実
 ③については、中教審「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教育育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」で提唱された県・政令市と大学が協力した「教育育成協議会」の設置と、教員のキャリアステージに応じた「教員育成指標」の策定をにらんで、県教委・2政令市教委と県内の主たる教員養成機関である本学部と常葉大学の5者で、各機関の自律的営みを守りつつ共通して目指す指標について土俵を準備しつつあります。

第3期中期目標・計画期間中(28年度~33年度)の改革

 現在取り組んでいるのは次のような改革です。
(1)教職大学院の機能強化と中等教科教育高度化を目標とした修士課程改革を中心とする大学院改組
(2)現職教員のキャリアパスとして大学・大学院を活用いただくためのエクステンション事業の検討(研修プログラム、免許取得プログラムの提供)
(3)免許法改定に伴う学部カリキュラムの抜本改定に向けた教育課程改革
 改革後の学部の教育課程の特徴は「学び続ける教員の育成を目標とした多彩な教職キャリア形成プログラム」といえます。中教審「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」では、学内外の人々が得意分野を生かしながら学校がチームとして教育の諸課題に対応していくことを提唱しています。学校の規模縮小や教育課題が山積みした学校では多彩な得意分野を持った教員等が協働して学校がチームとして機能する必要があります。教育学部ではこうした要請に対応するため、教科・専攻分野の専門性に強みを持つ教員、中学校複数教科免許・特別支援教員取得教員、子どもの生活・育成支援やアクティブラーニング等の新たな学びなど教育の現代的課題に強みを持つ教員など、学生の主体的な選択により多彩な教員養成プログラムを用意します。
 主体的なキャリア選択を可能にするには、自分はどういう教員を目指し、そのためにどういうカリキュラムでどういう能力を身に付けるのかを主体的に考えることができるよう、教職キャリアデザイン教育の充実が必要です。これは教職キャリアステージに応じて自らの目標を見定め学び続けていく教員の基礎を形成するものであります。このプログラムの運営には同窓会の先生方のご助力が欠かせません。どうかご支援くださいますようお願いいたします。同窓会の先生方が教職キャリアアップを目指して大学・大学院で新たな学びをしながら、併せて教員を熱望する学生のご指導をいただけるような理想的なシステムの構築を念願しています。