「アウトカム」が求められるこれからの教育

掲載日: 2018年5月25日
更新日: 2018年6月8日

掛川市立大浜中学校校長
全義務教育課企画・指導
班班長兼主任・指導

堀内祥行

(平成元年・中技術卒)

 平成29年3月、学習指導要領が告示されました。従来は各教科の内容の記述が中心だったのに対し、今回は、どのような資質・能力の育成を目指すのかが前面に出て、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」として、指導方法や評価の在り方にも言及している点が大きなポイントとなります。
 ここでは、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」と、小学校における切実な課題「小学校英語教育」の二点について、県の施策と絡めながら触れたいと思います。

主体的・対話的で深い学び

 現行の学習指導要領では、「言語活動の充実」が示され、本県ではそれに基づいて、問題解決的な学習や聞き合う話し合う活動を通して、主体的・対話的な授業を実践してきました。これをインプットとアウトプットの関係で表すと図1のようになります。「現行学習指導要領」「言語活動の充実」をインプットすると「主体的・対話的な授業」がアウトプットされる。これが他県よりも校内研修を充実させてきた本県義務教育の現状です。
 本県教育にとっては、一見すると、「これまでと何が違うのか」「これまでと同様に取り組めばいいのではないか」と考えがちですが、今回のポイントは子供にとって「深学び」になっているかという点です。それがこれまでとの大きな違いであり、それを表したものが図2となります。
 学校ではまだまだ馴染みの少ない「アウトカム」ですが、企業、行政ではアウトカム指標として使われています。「アウトプット」が何をしたかだとすれば、「アウトカム」はその結果どうなったかです。「主体的・対話的な学び」ある意味、形として見えますが、「深い学び」は子どもの学びの程度ですので、教師が何をしたかではなく、結果としてどうなったかに焦点を当てることになります。
 本年2月、県教育委員会では、教頭を対象に「授業力向上研修」を実施しました。今後、2年かけて、対象を主幹教諭、教務主任研修主任へと変えて、本研修を継続的に実施し、本県におけるこれからの授業の在り方の周知を図っていきます。
 子供たちがより主体的、より対話的に授業に取り組むよう、知識構成型ジグソー法等、さまざまな手法が話題に上がるかと思いますが、最も大切なことは、授業の「型」ではなく、アウトカムを意識し、形成型評価を行い、授業改善につなげたり、子どもの支援につなげたりする営みを地道に行い、子どもが「学びの実感」を積み重ねることだと考えます。
 各学校では、これまで以上に、子どもが学びを実感しているか、授業前後の変容を把握する手立て(振り返りノート等)を工夫したり、意識調査と客観的な学力調査(学力の一側面ではあるが)を定期的に実施して伸びを確認したりと、様々なアプローチで子供の学びの深さを評価し、PDCAサイクルの中で授業改善を進めてほしいと思います。

小学校英語教育

 次に小学校英語教育ですが、学校現場の不安も大きいことから、県教育委員会では、平成29年度から「小学校英語教育推進体制設備事業」を推進しています。具体的には、教育養成、教育採用、現職研修、教育配置の四点を柱とし、大学とも連携しながら、体制整備を行っていきます。
 そして、静岡県小学校英語指導資格(LETS)認定を行い、平成32年度の全面実施時に、全ての小学校に中学校英語免許保有者又はLETS認定教員を配置できるようにします。
また、こうした取り組みに加え、放送大学で新設された「小学校外国語教育教授基礎論」受講者に補助金を出すなど、先生方の自己研修の支援も行っていきます。

最後に

 学習内容の削除はせず、学習の質の転換と授業時数が増加となる今回の改訂。アウトプットの発送だけではモチベーションが下がり、多忙感に拍車がかかります。自校の実態を踏まえ、カリキュラムマネジメントを進めながら、究極のアウトカムである「子どもの姿」をゴールに見据えて取り組んでいきたいものです。